折曲厳禁 桜梅桃李 企業の起業

企業の起業

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2010年に公開

「何か儲かる話はな~い?」

昨今の挨拶となっています。
もちろん、まじめな話ではなく笑い話のフリです。

とある仲間とその元部下という若い方と3人で飲む機会がありました。
わたしの仲間は、ずいぶん前に独立開業していますが、
どうやら、元部下君は今の勤務先は契約社員での在籍のようです。
そして、独立を考えているようです。
う~ん。最近よく聞くパターンです。
話が進むうちに次第に現実味を帯びてきます。

熱い?想いを語る元部下君に適当に相槌を打っていた仲間も私に救いのまなざしを...
どうやら、仲間は元部下君を傷つけないよう
「今の仕事をがんばれ」という立場のようです。

わたしも仲間も、若い方が起業しようとすることには賛成です。
できるかぎりの応援をしたいなぁというのが基本です。
しかし...

一芸に秀でた方はたくさんいます。
営業、技術、知識、パワー、発想、計算、人脈、信用などなど。
踏み入れたことのない自営、経営の世界は、
考えている以上に厳しいものです。
わたしも仲間も「人が変わる」という事実をまざまざと見てきました。
もちろん、私自身と仲間も例外ではなかったと思います。

しかし、「大変だよ~」「厳しいよ~」「楽じゃないよ~」と繰り返す仲間の言葉に、
元部下君は、「気合で」「根性で」と対抗します。
わたしが、元部下君の親ならば、好きにさせてみると思います。
人は立場によって相応に進歩することもありますし、
信じ、応援し、失敗したなら支え、護ることも。
残念ながら、私と彼は思いっきり他人です。

居酒屋で細い話を詰めても仕方ありません。
わたしは、おだやかに彼に問いかけてみました。
「でっ、社長は独立に何が必要だと思う?」
「やっぱ、資金だと思いますけど、
とりあえず自宅で始めようかと思うんで。」
「そいから?」
「そこそこ客はいるし、仕入れも何とかなるし、
あとは何ですかねぇ?」

そうです。独立を口にするほとんどの方は、こんな感じです。
「そうかぁ! じゃあ、がんばって!」
「じゃあ、社長に乾杯!」と言うと、仲間が大ウケです。
わたしは、こう言いました。
「よ~く考えて、腹が決まったらまた飲もうね」

これからの日本経済は、
起業、独立、世代交代が、かかせない成長の種になると思います。
資本力のある企業においしいところは、もっていかれます。
芽を出し、少しずつ育ち、葉を広げ、やがて花をつけ、
実となる寸前に大手の資本と信用を武器に。
それでも零細企業が、がんばらなければ。

わたしは、こんな風に思います。
起業は、一人でするもの。
双頭(共同経営)は、禍根を残します。
出資比率等で客観的な上下関係をつけるべきです。

しかし、一人だけの独立開業は薦めません。
たくさんの要素があるかと思いますが、
わたしはまず初期段階で大雑把に4つにわけています。
自分自身+人+物+金です。

自営業といえども業種に関係する法令順守は鉄則です。
税法、商法、民法は最低として、
業種によっては、食品衛生法、訪問販売関係法令、
道路交通法、雇用が必要なら労働法令等々。
自身が不勉強ならば、人が必要です。

また、広告、営業に適した媒体向けのノウハウが必要です。
ウェブサイト、地域情報誌、雑誌や新聞広告、電話帳、ちらし等々。
自身が不勉強ならば、人が必要です。

そして、経営の指針となる分析と戦略です。
財務諸表、営業成績、市場推移、将来見通しを分析することが、
資産運用、資産形成、金融と次の戦略にいたる発想の根拠となります。
自身が不勉強ならば、人が必要です。

さらに店舗、事務所、工場、作業場、倉庫等のハコと
付帯設備が必要ならば、もう大変です。
限られた資金の振り分けは、
融資、リース、レンタルなどの可能性を考慮し
優先順位と新品または中古活用など
必要性、耐久性を真剣に検討しなければなりません。
仲間、縁故に助けてくれる人がいなければ、
プロに依頼するか自身で勉強するかとなります。
もちろん、プロに依頼するならそれなりのお金が必要です。

物とは、商品そのもの。
そして、仕入れルートあるいは、外注ルート、または、受注ルートです。
つまりは、自分自身+人+物+金のバランスと設計です。
自分自身がポン助でも、
資金があれば、人を雇い、仕入れを叩き、受注も薄利で可能です。
逆に資金が寂しいならば、多くを自分自身で対応せざるを得ません。
あるいは、人脈を創り上げる努力をしなければなりません。
世襲で事業を継承する場合、
通常上記の仕組みは構築されていますから、かなり有利です。

創業、独立、起業は、やさしくありませんが、面白いものです。
ときに細かい経費に目を向け、
時には、業界全体、地域経済、国家経済のうねりに目を移し、
経営者さんは、それぞれに経験をつんで行くべき道を切り開いていきます。
千差万別の手法、経営理念、危機管理、耳を傾ければ深いものです。
そして失敗談は、面白すぎます。
犯罪かも?と思えるような所業をしてきた方も少なくありません。

もちろん、だらしない、向いてない経営者さんもたくさんいます。
わたしもその一人です。
経営者といえど企業規模の大小があります。
わたしは、大きな企業を差配する能力はないと思います。
零細規模だから、私が私でいられることも間違いないと思います。

雇用がなければ、起業です。
資金がなければ、どんな業種でも働いて自己資金を厚くしましょう。
懸命に働くことで、気がつくこと、見えることは少なくありません。

明日が、来年が、将来が見えてくることだって。

ほぼ、当時の原文ままですが、一気に殴り書きしたような文章ですが、
あらためて読み返し、振り返ってみると、
2010年、創生期っぽい感じだったようです。

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